2025.04.07
肛門痛について ーーーその2ーーー
前回からの続きで今回は【無症候性肛門痛】についてお話をしていきます。
【概要】
無症候性肛門痛とは、明らかな肛門の病変(痔など)がないにもかかわらず、肛門部に痛みを感じる状態です。
いぼ痔や切れ痔による痛みは排便時に起こりますが、無症候性肛門痛は排便と関係なく、長く座っている時や、夜間に発生しやすいのが特徴です。
痛みの強さや持続時間は個人差があります。強い不快感が出る場合もあります。
【主な原因】
無症候性肛門痛の原因は明確に解明されていませんが、以下の要因が考えられます。
・筋肉の痙攣: 肛門周囲の筋肉が痙攣する。肛門周辺には骨格筋である外肛門括約筋と平滑筋である内肛門括約筋があります。どちらの痛みも起こりえます。
・神経の異常: 肛門には陰部神経という、肛門を動かす筋肉に分布してる神経があり。
この肛門周辺の神経が過敏になることで痛みを引き起こす場合があります。いわゆる神経痛の一種です。
・血流の変化: 血液循環が一時的に悪くなることも原因になり得ます。
・ストレスや精神的要因
診断と治療
無症候性肛門痛の診断は、他の疾患を除外することが必要です。
(診断)
- 肛門および直腸の視診、指診、肛門鏡検査
- 内視鏡検査:がんなどの除外診断
- 血液検査:炎症があるかないかなどの検査
- その他の画像診断
(治療)
- 暖めること:肛門周辺や仙骨部分を温めることで、筋肉の緊張を和らげることができます。入浴もおすすめです。
- 鎮痛剤: 痛み止めの成分の入った座薬を用いることがあります。また、神経痛が考えられる場合にはそれに適した内服薬があります。
- 生活習慣の改善: 規則正しい生活やバランスの取れた食事、適度な運動をおすすめします。
- ブロック注射:陰部神経ブロックを行う事で症状が緩和されることがあります。
肛門部の痛みは不快なものです。
症状が一時的でなく、持続する場合には専門医への受診をお勧めします。
以上で肛門痛&無症候性肛門痛についてのお話は終了となります。
おしりの病気は、生活習慣が大きく影響をしてきます。
おしり以外の病気にならないためにも、しっかりと生活習慣を見直していきましょう。
院長 宮島 伸宜