【便秘症について】 その3
前回から引き続き「便秘症」についてお話をしていきます。
今回はその3として【便が出せない状態】・【便を出さない状態】についてお話をしていきます。
〇便を出せない状態
一般的に多くの人が便秘=便を出せない状態 と考えると思います。
この便を出せない状態は、直腸まで便が来ており、強い便意があるのに"いきん"でも便を出すことができない状態です。
原因として、便が硬くなりすぎて出せない場合も多いのですが、直腸と肛門部分の筋肉などの機能に異常がある場合や、
腸が屈曲して(便を出そうとしているのに逆に便を出さないようなっている)しまうなどの原因が考えられます。
さらには、直腸肛門部に腫瘍などがある場合もあります。
便を出せない状態の解決策として、まずは食生活等の生活習慣を見直すところから始めましょう。
当院のHPでも、食物繊維の豊富なメニューを掲載しておりますので、是非参考にしていただければと思います。
軽度な状態では軟便剤などの薬物療法でコントロールできますが、
便が軟らかくなったにもかかわらず同じ症状が続く場合には、内視鏡や排便造影などの検査が必要になります。
〇便を出さない状態
慢性便秘症の患者さんでは便意があまりないということがあります。
これは直腸の知覚が鈍っているという状態です。
また、仕事などで便意を抑制してしまうという状況も考えられます。この状態が続くと便意も徐々に薄れてきてしまいます。
(注意しましょう強い"いきみ")
便秘による強い"いきみ"は、痔や肛門裂傷等他の症状を併発させてしまうことがあります。。
トイレで強くいきむと、おしりの痔や肛門裂傷を引き起こすだけではなく、血圧が急上昇します。
このような血圧の急上昇は、心臓や血管に大きな負荷をかけるため、心不全、心筋梗塞、脳卒中などの病気が起こる危険度が高まります。
また、血圧の急上昇は加齢に伴い起こりやすくなるといわれており、高齢者はその"引き金"となる排便時の"いきみ"に特に注意が必要です。
日本高血圧学会 高血圧治療ガイドラインでは、「便秘に伴う排便時のいきみは血圧を上昇させるので、便秘予防の指導、場合によっては緩下薬の投与を行う」とされています。
注意していただきたいのが、血圧と便秘は、一緒にコントロールすることが重要なのです。
その4へ続きます。
院長 宮島 伸宜