痔瘻と肛門周囲膿瘍 -おしりに膿のトンネルが開通??- 症状について
今回は痔瘻と肛門周囲膿瘍についてのお話しです。
今までにお話をしてきた「痔核(いぼ痔)」・「裂肛(切れ痔)」に比べると、「痔瘻(あな痔)」は聞いたことが無い人もいるかも知れません。
痔瘻は痔の代表的な病気の1つです。
痔瘻は一旦かかってしまうと、残念ながら薬では治癒することがなく、手術が必要です。
【肛門周囲膿瘍と痔瘻】
痔瘻(じろう)は、おしりに膿のトンネルができて化膿を繰り返す病気です。
おしりに穴(トンネル)が出来ることから、別名「あな痔」とも呼ばれます。
「おしりに穴(トンネル)が出来る」と言われてもピンと来ないと思いますので、痔瘻のメカニズムについてお話をしていきます。
(肛門周囲膿瘍)
痔瘻についてお話をする前にまず肛門周囲膿瘍についてお話をしてきます。
肛門から2cm奥の皮膚と腸の境目の部分に肛門陰窩(肛門小窩)という凹みがあります。
本来ならば粘液を分泌する場所なのですが、水のような便が大量に凹みに入ったり、疲労が重なって免疫力が低下すると
便の中の細菌が凹みから奥に侵入し炎症を起こし、やがて膿が溜ります。
この膿のたまった状態が「肛門周囲膿瘍」です。
(肛門周囲膿瘍の症状)
肛門周囲膿瘍の症状は、比較的突然に肛門周囲に痛みを感じるようになります。
また触ってみると腫れている感じがします。
深い部分に膿がたまるとお尻の奥の方が痛くなったり腰が痛くなったりする場合もあります。
またおしりの感染症ですから、熱が出る場合もあります。
時には細菌による感染症ですから、高熱になることもあります。
(痔瘻)
この肛門周囲膿瘍の膿は、肛門の脇の皮膚の下にたまることが多いのですが、
複雑な経路(トンネル)を作ることもあります。
皮膚を切開して膿を出したり、自然に皮膚が破れて膿が出ると、肛門陰窩と皮膚の穴がトンネル(瘻管)でつながります。
これが痔瘻です。
皮膚に近いところに膿がたまる場合や深いところに膿がたまる場合があります。
このトンネル(瘻管)の走行にもさまざまな形があります。
つまり肛門周囲膿瘍が進行し、肛門の内外をつなぐトンネルができると、【痔瘻】となります。
これ以外にも、クローン病という腸に炎症を起こす病気や、結核、HIV感染などの病気に関連した痔瘻もあります。
【痔瘻症状】
痔瘻の症状は、肛門周囲膿瘍と同様で、肛門の周囲がはれてズキズキとした痛みや、発熱、おしりが熱をもつことがあります。
また、おしりに膿のトンネルができているので、常に膿が出たりします。
肛門周囲膿瘍・痔瘻は残念ながら薬では治癒することがなく、手術が必要です。
症状が悪化する前に、専門の病院で治療を受けることをお勧めします。
「痔瘻・肛門周囲膿瘍」の診察や治療については次回お話をしていきます。
院長 宮島 伸宜