痔瘻と肛門周囲膿瘍 -おしりに膿のトンネルが開通??- 治療について
前回に引き続き、今回は「肛門周囲膿瘍と痔瘻」の治療&診察についてお話をしていきます。
【肛門周囲膿瘍・痔瘻の診察】
皮膚の下の浅いところに膿がたまっている場合には、腫れていたり赤くなっているのを目で見ることができます。
肛門内と連続しているかどうかを指で確認します。
膿やトンネルが深いところにあると目で見てもわからないこともあるので、指でしっかり触れて診断します。
正確な診断のためには経肛的門超音波検査を行って、膿のたまり具合やトンネルの走行を確認する必要があります。
また、深部に膿がたまったり、トンネルが複雑に走っている場合にはMRI検査が必要になる場合もあります。
痔瘻はクローン病などに合併する場合があります。
クローン病であった場合には痔瘻の手術を行っても傷が治るのが遅れたりする場合があります。
また、痔瘻が最初の症状で、後から腸に炎症を起こす場合もあります。
当院では痔瘻と診断した場合には、大腸の内視鏡検査をお受けいただいて腸に炎症がないことを確認しています。
【治療】
残念ながら、肛門周囲膿瘍・痔瘻は薬だけでは完治しません。
膿がたまっている場合には速やかに切開して膿を出す必要があります。
ある程度進んだ肛門周囲膿瘍では抗生物質はあまり有効ではありません。
皮膚の下の浅いところに膿がたまっている場合は局所麻酔での切開が効果的ですが、
深い場所に膿がたまっている場合には局所麻酔だけでは十分に膿を出し切ることができない場合もあることと、
痛みが強くなる可能性があるので腰椎麻酔を行って切開することもあります。
【手術】
痔瘻は基本的に手術が必要です。
手術方法には大まかに分類して
- 瘻管解放術
トンネルを切開して細菌の入り口を開放する方法。
- 肛門括約筋温存手術
トンネルが深い場所を走っていたり、トンネルが肛門括約筋の幅が薄い場所や、肛門括約筋の深いところを貫いている場合には、トンネルを切り開いてしまうと肛門括約筋を損傷してしまう可能性があるので、
肛門括約筋を温存する手術を選択します。
- シートン法
細菌の入り口と皮膚の穴の間のトンネルの中にゴムを通して、徐々にトンネルを切開していく方法です。入院期間は短いですが、ゴムが外れるまでに数ヶ月かかります。
※クローン病に伴う痔瘻の場合
トンネルが複数あったり、複雑な走行をしていることが多く、まずは炎症をおさめるために管を通すことが原則です。
炎症がおさまって、治癒が期待できる場合には手術治療を行います。
【肛門周囲膿瘍・痔瘻の予防】
肛門周囲膿瘍・痔瘻を完全に予防することは困難なのですが、下痢や、アルコールの過度の摂取を控えることが望ましいです。
やはり他のおしりの病気と同様に生活習慣の見直し(規則正しい睡眠、食物繊維が豊富な食事・適度な運動・適度な水分摂取etc....)が必要となります。
今回で肛門周囲膿瘍・痔瘻のお話は終了となります。
院長 宮島 伸宜