第2回 痔核(いぼ痔)について その4 痔核(いぼ痔)の治療と予防
【痔核(いぼ痔)の治療】
今回は痔核(いぼ痔)の治療についてお話をしていきます。
「薬による治療」
肛門から注入する軟膏や座薬が主体です。
うっ血を改善したり、痛みを和らげる成分が入っています。
使用することで症状が改善する方が多いのですが、症状の改善と痔核(いぼ痔)が治ることは異なりますので、しばらく薬を使い続けることも大事です。
「硬化療法」
硬化療法には2種類あります。
当院では出血が主体の方に対して外来ですぐに行うことができるパオスクレーを用いた硬化療法(PAO法)[1]も行っています。
また、もう1つはジオン注射による「ALTA療法」[2]で、ある程度の痔核(いぼ痔)に対して効果があるとされている方法もあります。当院では日帰りや1泊入院で行います。利点もありますが、副作用や欠点もありますので、外来で十分に説明を受けていただき、ご理解していただいた上で行います。
いずれも痛みも少なく簡便な治療方法ですが、万能でないこともご理解いただければと思います。
[1] 痔核の粘膜下に注射。これで痔核となっている太くなった痔静脈は(周囲の炎症反応により)圧迫閉塞され、痔の出血は急速に止まり、痔は小さく成り、さらに痔核は線維化し、硬化する。
[2] 特殊な注射を痔核内に投与することで痔核を固めて小さくし、脱出と出血症状を改善する治療法。治療にあたっては認定専門医による特殊な投与技術(四段階注射法)が必要。ALTAは硫酸アルミニウム・カリウム水和物・タンニン酸の略語。
「手術」
痔核(いぼ痔)に入ってくる血管をしばり、腫れた痔核(いぼ痔)を切除する方法です。入院(8-14日)が必要になりますが、再発率は最も低い治療方法です。
痔核の症状や進行度で治療方法を患者様とご相談して治療を行ってまいります。
【痔核(いぼ痔)の予防】
●痔核(いぼ痔)の予防と、痔核(いぼ痔)を悪化させないために
痔核(いぼ痔)の予防は、原因を少しでも緩和させることが大切です。まずは生活習慣を見直してみましょう。
(食生活)
便秘や下痢にならないことが大切です。そのためにはアルコールの過剰摂取や辛いものを食べ過ぎることは禁物です。
食事に気をつけることも大切です。繊維の多いものを食べることは排便にとって大事なことです。
(排便方法)
便秘や下痢の方はトイレに座っている時間が長くなりがちです。トイレで座ってスマホをながめているのはお尻にとって最悪です。
排便は1~2分を目安にしましょう。
便秘の方で、下剤を飲んでいる方も多いと思いますが、刺激性下剤(センナや大黄など)は頓服で飲むなら良いのですが、常用するとクセになってしまいがちです。非刺激性下剤(マグネシウム製剤など)でコントロールする方が良いでしょう。
しかし、いくら下剤を飲んでも身体に充分な水分がないと便はうまく出ません。1日1.5〜2リットルのカフェインの入っていない水分をこまめに飲むことで便秘は予防できます。
(冷え対策)
冷えも大敵です。入浴してゆっくり温まることは身体がリラックスするだけではなく、お尻もリラックスします。
以上で痔核(いぼ痔)についてのお話は終了となります。
痔核(いぼ痔)は特別な病気ではありません。皆様の生活の中に潜む、おしりの風邪のようなものです。
おしりのことで少しでも不安なことがあれば早めに医療機関を受診しましょう。
以上となります。
院長 宮島 伸宜