27.「形態異常」についての検査方法

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「形態異常」に関しては、内視鏡よりも「注腸検査」の方がわかりやすいようです。

これはおしりからバリウムを入れて腸の形をレントゲン写真に撮して見るという検査ですね。 ガンなどの手術の前には、ガンそのものの形や、細胞の検査(生検:ガンでもその細胞によっては小さいうちにより転移しやすいもの、転移に時間がかかるものとがあるのです)を内視鏡で行うのと同時に、そのガンが実際にお腹の中のどのあたりにあるのかなどを注腸検査で確認しておかなくてはいけません。 内視鏡ではおおまかな部位(直腸とかS字結腸とか)はわかっても、腸の長さや形は人によってさまざまです。特にS字結腸は、ホントに全く様々な長さや形があり、ガンの位置によってどこを切ってどこを繋ぐのかを、手術の前に予想・予定しなくてはいけません。body_chou_good.png

時には、「内臓逆位」という右に心臓があり、左に肝臓があるという人もいらっしゃいますから、こういう場合でも注腸検査を行うことで手術のイメージが非常にしやすいのです。

また、ある意味ガン以上に注腸検査が役に立つのは、「憩室」という状態の診断と治療です。 あえて「病気」と言わず「状態」と表現するのは、「憩室」それ自体は困ったものではないせいです。これは、腸の筋肉の一部が小さく断裂し、その部分が薄く弱くなっていて、圧力が加わると外側や内側にペコッっと引っ込んでポケットみたいになっている状態です。

生まれつきや加齢、過伸展などで起こると考えられ、70代になると1割以上の人に見られるといわれる、ごく普通の変化です。 ただ、時にそこに便がはまりこんだりして炎症を起こすと「憩室炎」といって、腹痛など虫垂炎そっくりの症状を起こしたりします。虫垂炎(盲腸炎)だと思って手術に入ったら憩室炎だったということもあるくらいです。

また、何らかの原因でその部分の血管が破れやすくなって、突然出血を繰り返す、ということもあります。 この「憩室」、内視鏡で見るとポコポコと落とし穴があるように見えることが多いのです。注腸検査では、そのポケットにバリウムが溜まって写るので、個数や位置、ポケットの形が非常にわかりやすいんですね。

また、時にポケットが裏返るように腸の中の方へでっばって、まるでポリープみたいに見えることもあるんです。 内視鏡だけとか、注腸検査だけでは、そういう見間違いだけでなく、ガンやポリープの見落としといったこともあり、危険度が高い方では両方行うのが理想ではあります。