25.続・大腸炎の原因と治療法

  • 投稿日:
  • by
  • カテゴリ:

腸炎の話はまだ続きます。 最近増えている印象があるのが、アメーバ赤痢です。下痢はあまりしないんですが、粘液性の出血が特徴です。

これは寄生虫なので、アメーバのついたナマモノを食べることで感染すると考えられます。調理の際に食材にアメーバがついたり、アメーバのいる便を肥料にした野菜などが原因として考えられるため、海外での感染が多いんですが、最近は、ルートはよくわからないけど(性行為でも感染するとも言われます)増えている地域があります。

寄生虫ですから、発見されれば薬が効きます。しかし、きちんと治しておかないと、アメーバが腸から胆管をさかのぼって肝臓に入ったり、もちろん人にうつす可能性もあります。数日以上続く粘血便があれば必ず胃腸科、消化器科を受診して下さい。 あと、腹痛と多目の出血を伴う腸炎では、「虚血性大腸炎」というのもあります。腸への血流が何かの理由で一時的に途絶えてしまい、酸素が届かなくて腸炎となった状態です。中年以上の人に多く、何らかの理由で血管の攣縮(れんしゅく)が起こることが原因ではないかと考えられています。

body_chou_bad.png大抵は一過性で、血流が回復すると治ることがほとんどです。しかし、血流低下が長引くと腸炎から腸壊死におちいったり、腸炎部のバリア低下で細菌が体内に侵入してしまったりということもあります。腹痛と下血、両方がある場合は早く診断し早く治るようにしなくてはいけません。

この他、出血する腸炎の特殊例としては、前立腺や子宮・卵巣など骨盤内のガンなどで、放射線治療を受けたあと、しばらくしてから直腸炎が起こってくるものがあります。出血以外には症状はないことが多いのですが、少量でもなかなか止まらなくて貧血をおこすこともあります。
この腸炎の場合ははじめの病気の時に説明されていることが多いので、そちらでちゃんと相談しましょう。


さて、腸炎も大詰め。次回は肛門の病気とも関係の深い IBD = 炎症性腸疾患。潰瘍性大腸炎とクローン病です。