22.実際の大腸内視鏡検査のやり方
大腸検査の必要性・重要性をご理解いただいたなら、次は実践編。
大腸内視鏡検査は、おしりからカメラ(内視鏡)を入れて、大腸の一番奥(盲腸・バウヒン弁)まで挿入し、大腸全体を観察する方法です。 ※バウヒン弁は小腸から大腸に入ったもの(便)が小腸に逆流しないようになっている部分で、ここよりも奥へ入ると小腸です。ですから大腸検査とはいっても、必要であればこの小腸の出口付近までは観察することもできます。
胃の場合は朝食を摂らないだけで検査ができますが、大腸の場合は、まず大腸の中の便を全て出して、からっぽにしなくては検査ができません。
大腸をカラにするには、検査当日に腸管洗浄液(ニフレックなど)を口から飲んで、腸の中のものを水道を流すように押し流してきれいにする、という方法が一般的です。ただし、このためには約1.5リットル、場合によっては2リットル以上の洗浄液が必要になります。 また、大腸洗浄液の欠点は、万一腸にねじれや狭くなっているところがある場合に、上からどんどん押し流そうとすると、その狭くなったところを通らずに手前がどんどん膨れていってしまうという可能性が否定できないことです。
ですから、そういう狭い状態が予測される場合には腸管洗浄液を使えない、ということもあり得ます。 腸管洗浄液が使えない、またはそんなに水分を飲めないという方には、前々日くらいから下剤で腸を空っぽにしていき、前日は腸の中の残渣を残さない食べ物を摂り、当日何度も浣腸をして腸の中をキレイにする、という方法もあります。
しかし、浣腸液は1メートルも先の腸には届かないこともあり、上から押し流してキレイにする方法に比べると少し残渣が残る傾向があります。
腸をきれいにしたら、恵仁会グループの病院ではほとんどの場合検査の直前に鎮痛・鎮静剤を静脈注射します。これは、大腸は1メートルもあるので、いくら検査医師が上手でも痛みが起こることがあるためです。
このように一度、痛い・苦しい思いをしてしまうと、もう二度と検査を受けたくないと思ってしまいます。 ポリープ(ガンも)は、小さければ内視鏡で切除できるはずだったのに、検査がいやだと思っているうちに進行し、大きくなってしまうと手術でとらなきゃいけなくなってしまう。もちろん転移やいろんなリスクも高くなります。
はじめから検査で痛くなりそうな腸かどうかが判ればいいんですけどね。そういうわけにもいきませんから、恵仁会グループの病院ではよほどの問題もしくは希望がない限り、初めから鎮痛剤を使うことにしているのです。
ですから、初めての方の多く、何度も受けている方でも薬がよく効く方では、眠っているうちに検査が終わってしまいます。「ホントに検査したんですか?」とおっしゃる方もいるくらい。
まぁ、実際に検査にかかる時間は、当クリニックの場合だと10分くらいが平均ですしね。何もなければあっという間です。
※ちなみに、恵仁会グループの大腸内視鏡検査は年間2万件以上と日本一(ひょっとしたら世界一かも?)の件数を誇ります。
で、検査結果を聞いて、何もなければ「ハイ、お疲れ様でした。次回の検査はいつ頃受けるといいですよ」というアドバイスをもらって帰ることになるわけです。