20.大腸ガンは早期発見が大切!
いつだったか、例の「○○○の本当はコワイ...」の最後に「大腸ガン」が出てきました。 例によって「危険度診断」がありました。
- 出血がある
- 便が細い
- 何度もトイレに行きたくなる
- 便秘・下痢を繰り返す
- 貧血・立ちくらみがする
一個でも該当すると大腸ガンの危険性が高いので、大腸検査を受けるべきです、という診断でしたが、確かにこの症状は、大腸ガン、特に直腸ガンのほとんどでみられる症状です。また、番組に出てた20代?の全員が、何らかの症状がありました。でも、更に言うなら、おしりから血が出たことない人、便が細くなったことのない人って、どのくらいいるんでしょうね?
つまり、どの症状も、痔をはじめ他の病気(体調)でもよくみられる、ごくありふれた症状だってことです。 私としては、この内容には異存はありませんが、それぞれの項目にひとことを付け加えるべきだと思ってます。「いつも・毎回」、または、「だんだんひどくなる」という言葉ですね。 ほんとに「ガン」や「ポリープ」であれば、出血がたまにあるとか、たまに便が細くなるなんてことはなく、「毎回便に血がつく」、「いつも細い便しかでない」、はずなんです。
もっというなら、「出血がある」はともかく、「便が細い」、「何度もトイレに行きたくなる」に関しては、そこまできていれば、早期ガンではなく進行ガンの可能性が高いかもしれません。
ただ、「ガン」、特に「大腸ガン」に関しては、早期発見すれば、80%以上の確率で治るのではないかと考えられています。 というのも、大腸ガンは、最初からガンであることは少ないんですよ 最初はポリープの形で出てくるものが多くて、ある程度のサイズになると中にガン細胞がまじってくる。
そしていつか、全部がガン細胞に置き換わる「大腸ガン」になるわけで。逆に言えば、「ポリープ」のうちに取ってしまえば、100%に近い確率で治るんですよね。 「症状が出てから」では、もう進行ガンになっている可能性がある。でも、症状が出る前、ポリープの段階で見つければ、なんと、大腸ガンは予防できるかもしれないってことなんです。
だから、私たち肛門科医は、言うんです。 「せっかくこういう病院(肛門科)にがんばって来たんだから、もうこの機会に大腸検査しておきましょうよ」ってね。 たまに血が出るとか、たまに便が細くなる、という程度でガンを思いつめる必要はありませんが、それをきっかけに検査を受けることで、まだちっちゃいガンやポリープが見つかるかもしれない。それで、上手くいけば、カメラで取りきれちゃうかもしれないんです。
同じ日の夜中に、某番組で、やっぱり大腸ガンの話をやってました。大腸内視鏡の専門医が、何とか人工肛門にならないような手術をした、というドキュメンタリーでしたけど。 大腸ガンのイヤな点は、そのおよそ半数が「直腸」、つまり肛門のすぐ近くにできるってことです。だから、大きくなってからだと手術で「人工肛門」をつけないといけなくなるわけで、それに対する恐怖心が一般の方には非常に大きいと思われます。「大腸ガン」と聞いただけで「人工肛門」と思っちゃう方もいらっしゃるくらいです。
でも、だからこそ、症状が強くなってからでは、おっきな手術をしなきゃいけなくなるからこそ、大腸ガンは、早期発見がもっとも大切です。
また、それがかなえば「治せるガン」である可能性がとっても高いんです。 みなさま、チャンスがあればぜひぜひ内視鏡検査をお勧めします。
ツラくないですよ。次回はその話の予定です。