17.レクトシールの検査方法と病院での治療
軟便剤で排便が軟らかくなり、自覚症状がなくなればレクトシールの治療はそれでOKなんですが、もしも、便が軟らかいのに、肛門で引っかかる症状が強い場合は、手術治療になります。
肛門の拡がりが悪いタイプでは、日帰りで、肛門をもうちょっと拡げる手術だけでもいいことはありますが。残念ながら大抵はなかなかそれだけではうまくいかないですね。 というのも、そういう方では長~い便秘歴の中で、すっごくいきんで、長時間かけて排便をするようなことをしてることが多いのです。
そうすると、前側の壁だけじゃなく、直腸肛門を支える筋肉群:骨盤底筋群の全体が弱ってることが多いんです。なので、前側の壁を補強するような手術をしたり、もうちょっとひどいと骨盤底を補強して、直腸肛門全体を排便しやすい形に治すような手術をすることもあります。
この場合は入院手術ですね。 どのようにしてそのレクトシールを治すのかという治療方針を決定するためには、デフェコグラフィーという検査を行います。
これは、肛門から、胃の検査にも使われるバリウムを入れて、それをいきんで排出するときの肛門や直腸の形・動きをみるというもので、レクトシールの大きさや程度、またその周囲の状態を観察できます。 ちなみに、骨盤底筋群が弱くなってくると、直腸だけでなく、子宮や膀胱が膣から出てきたりする「子宮脱」「膀胱脱」という状態を併発することもあります。
逆に、子宮筋腫などの病気で子宮をとってしまうと、その空いたスペースに腸が拡がったり、子宮を支える筋肉をいじったためにレクトシールが悪化することもあります。 女性が「便秘」を訴える場合には、こういうこともあるというのを、知っていると知らないとでは大きな差があります。
安易に宿便だ、毒素だ、デトックスだなんていう「流行り」に踊らされることなく、何が自分にとって必要なことなのかを、冷静に考えてみることが大切かもしれませんね。