13.「排便異常」と「硬い便」

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ところで、「弛緩性便秘」「痙攣性便秘」ともに、「いかに肛門まで便を届かせるか」を主眼にここまでは話してきましたが、肛門科的には、ここからがヤマ場。


「肛門まで便がきてるのに、そこから先へ降りてこない、出てこない」というタイプの排便異常があるんです。
この場合、肛門までは便がおりてくるんだから、「腸の動き」の方の問題ではないですね。同じ「便が出ない=便秘」というカテゴリーには入っても、対処・治療法としては前二つの「腸をいかに動かすか」ではなく、「届いた便をいかに出しやすくするか」の問題になってくる。

肛門というところは、普段は「肛門括約筋」で締まっています。その締められている長さは、大体2?4cmくらい。その筋肉で締まっている肛門を、「便を押し出す力」でめりめりと開いていって、最終的には便が排出されるわけです。
その「押し出す力」は、ひとつはもちろん腸自体の動き(蠕動運動)、つまり後ろの方から便が押し流されてくる圧力です。
だから、「食事のあとに腸が動く」という時期に排便するととっても排便がラク。

もうひとつは「いきみ」です。いきむと、直腸の上のほうが閉じて、便が後戻りしにくくなる。残り少なくなった歯磨き粉のチューブの、出口付近を強く押すイメージです。 さらに重要なのは、出口付近の便の固さですね。hamigakiko.png

固まった歯磨き粉がチューブの先端付近にあると、うしろから押してもなかなか出てこないじゃないですか。肛門は、ある程度以上には拡がれないわけで、固まっちゃったものはどんなに頑張っても出てこられない。そうでなくても、歯磨き粉自体の固さって重要ですよね。
それが軟らかければ当然軽い力でスムーズに出ますし、もしも歯磨き粉が粘土くらいの固さだったら、押し出すのにすっごい力がいる。ましてや古くなった粘土みたいに乾いてカチカチになったら、固くなったところを何とか取り除いてやらないことには出せないわけです。

一般的に、出しやすい便の固さは「練り歯磨き~むいたバナナくらい」と考えられています。
そして、そのときの便の太さが、その人にとって一番よい太さ。もちろん、肛門の開く大きさは人によって多少の違いはあります。
だから便の太さ自体にはそんなにはこだわらなくてもいいんですが、まぁ大抵は500円玉前後の太さになることが多いようですね。