2020.10.12

10.「弛緩性便秘」には不溶性食物繊維が有効

弛緩性便秘は「腸が動かohagi_botamochi.pngない」タイプだから、動くように刺激をしてやらなくてはいけません。

腸を刺激して、便がたくさんたまってきてるんだぞーと訴えかけるのが「不溶性食物繊維」です。きのことか、すりつぶしてない(皮の部分の)とうもろこしやごま、豆類や玄米・小麦ふすまなどの穀類に多く含まれます。

これらの食べ物は、水を含んでふくらむことで腸を伸展させ、「ここに便があるんだぞ」というサインを送る。そうすると、腸は「あ、ここに便がある。よし、先に進ませなきゃ」と動くわけですね。 そういう食物繊維をたっぷり摂っても腸が動かないとしたら・・・原因は、腸の中に便があることを、腸自身が気付いてない、気付けないということです。サインを受け取る神経や蠕動運動させる神経の細胞の数が少なかったり、蠕動運動する筋肉の力が弱かったりするということですね。

高齢になって神経細胞の数や筋肉の力が減るというのが代表的な原因ですが、生まれつきの人もいます。 この場合は仕方がないので、「腸を刺激する薬=下剤」を飲んで、腸を無理矢理刺激してやることになります。市販されている大半の便の薬や、アロエ・センナ・漢方薬(大黄を含むもの)がこれに入ります。 これらの薬は「腸を無理矢理刺激する」わけですから、どうしても腸が動かない時に緊急として使う場合はとても有効です。

しかし、下剤の刺激はとても強いので、量が多いとお腹が痛くなったり、刺激が続いている間ずっと便が出続けるので下痢になったりします。 また、気軽に常用していると、下剤で強く刺激した時しか腸が動かなくなっていきます。そして、その状況が続くと、強い刺激に腸が慣れてきて、通常の下剤の量では効かなくなり、どんどん下剤を飲む量や回数が増えていきます。 さらに、飲まないと便が出ないんじゃないかという不安もつのり、そのまま続けていって、ついにはどんな下剤もきかないというひどい便秘になってしまうこともあるのです。

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軽い気持ちで飲み始めた下剤から、まさに下剤中毒ともいえるこのような状態に陥ってしまう人は少なくありません。
そして、何故軽い気持ちで始めてしまうのかというところに、実はいろんな間違った「思い込み」が隠れています。

排便は、毎日しないといけないという思い込み。
腸はキレイにしないと宿便がたまって身体に良くないという思い込み。
アロエやセンナ、便の出るお茶などは薬じゃないから安心という思い込み。
漢方薬だから身体には悪くないという思い込み。

こういう、間違った思い込みにより、下剤中毒からひどい便秘になってしまう人を一人でも減らしたい。そのためには正しい知識を伝えなくてはという思いで、これを掲載しています。