09.「弛緩性(しかんせい)便秘」と、「痙攣性(けいれんせい)便秘」

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「水」と「食物繊維」と「植物性油」で便の性状を改善したら、今度はそれをスムーズに出すことを考えなくてはいけませんね。いくら状態の良い便であっても、おしりまで降りてきてくれなくては出すことができません。 便は、大腸に入るまでは完全に液体ですから、ごく自然に流れて行きます。

しかし、大腸に入るとどんどん水分が吸収されて固まっていきます。ですから、ある程度の固さのモノを先へ進めるために、大腸は「蠕動(ぜんどう)運動」を行わなくてはならないのです。body_chou_bad.png

  • 弛緩性(しかんせい)便秘
    蠕動運動は通常、大腸の一番奥から直腸肛門へ向かって順番に締まっていく形で起こります。歯磨きのチューブを後ろから前へ向かってゆっくり押していくと、キレイに中身が押し出されていきますよね。
    ストライプが入ってるものなんかだとより分かりやすいですが、あのイメージです。もしもこの蠕動運動がなければ、チューブを押す力がないということですから、後ろからどんどん中身を足していって前からあふれさせなきゃいけなくなる。これが、腸が動かない=蠕動運動がない状態で、「弛緩性(しかんせい)便秘」といいます。

  • 痙攣性(けいれんせい)便秘
    また、もしも歯磨きチューブを、真ん中辺りから適当に押すとどうなるでしょう? 中身は前にも進みますが、後ろへ戻っちゃう分もありますよね。何も考えず下手にあちこち適当に押していると、中身が行ったり来たりして、ストライプの入ってる歯磨きなんかでは中身がぐちゃぐちゃになっちゃう。これを大腸に置き換えて考えると、順番的に先に腸に入ってきた便が、無理にグニグニしてる間に後ろに回っちゃったりして古い便がいつまでも腸の中に留まっちゃうこともある。 腸は動いているのに、正しく順番に動いてないから結果としてうまく排便ができないという、「痙攣性(けいれんせい)便秘」となるわけです。

見かけは同じ便秘でも、この二つのタイプには大きな違いがあることをお分かりいただけましたか?
片や「腸が動かない」便秘、片や「動いてはいるけど、正しく動いてない」のが原因の便秘。これだけ違うんですから、治療だってこの二つは違わなきゃいけないんです。
ただ「便秘だから下剤飲もう!」なんてやっちゃうと、大変なことになりますよ。