女性は痔になりやすい!?
「痔」はオジサンの病気と思っていませんか?
それはちがいます。
実は、女性の隠れ痔主はびっくりするほどたくさんいるようです。 なぜなら、女性こそ痔になりやすい「事情」を抱えているからです。その「事情」をこの項では詳しく説明します。
「痔」は貴女だけではありません。早めに病院に行きましょう。
◆ 女性の「事情」その1・・・女性の多くは便秘!?
便秘の原因1・・・黄体ホルモンの分泌
排卵後~月経前の約2週間や妊娠初期にさかんに分泌される黄体ホルモンの影響で、女性は便秘になりやすい傾向があります。
黄体ホルモンは体温を上げるほか、からだに水分や塩分をためこむ働きがあり、分泌が高まると大腸の腸壁から便の水分が吸収されるため、便が硬くなって出にくくなるのです。
便秘の原因2・・・問違いダイエット
間違ったダイエット、なかでも朝食抜きは便秘をまねく大きな原因です。
私たちのからだは「起床→朝食→便意」というリズムを持っているので朝食を抜いたり、極端に食事の量を減らすと便意が起こらなくなります。
また、「水を飲んでも太る」という人がいますが、便の硬さは便に含まれる水分量。
ですから摂取する水分を減らすと便が硬くなるのです。
便秘の原因3・・・直腸膣弛緩症
直腸と膣の間の壁が弱いと、排便時にいきんだ力が肛門の出口方向に向かわず直腸が膣の方向に膨らみます。 いきんでも膣側へ直腸が膨らむばかりで、どうしても肛門からは便を出すことができなくなってしまう症状を直腸膣弛緩症(レクトシール)といいます。 ひどくなると、膣に指を入れて押さないと便が出にくくなります。
排便は回数ではなく「出しやすさ」で判断します。 毎日便があっても出しにくかったりおしりでひっかかったり、出始めだけ固かったりすれば、肛門科的には便秘です。 逆に、2~3日に1回でも残らずツルンと出て、排便と排便の間に便のことなんて考えなくても良いようならそれは全く問題無し。
便がツルンとラクに出るためには、「便の固さ」、「お腹(腸)の動き」 の二点が大事。 便の固さは、目安としては練り歯磨き~むいたバナナくらいがいいようですね。
そうすると、太さとしてはまあ500円玉くらいってとこかしら。 それくらいだと「出しやすい固さ」と言えるでしょう。
◆ 女性の「事情」その2・・・妊娠・出産
妊娠中の便秘、妊娠後期は骨盤に肛門が圧迫されることによる血流障害やむくみ。
出産ではいきみで大きく腫れることもあるし、産後は授乳が始まると便が硬くなりがち。
不規則な睡眠時間や運動不足にストレス、妊娠や出産を期に痔が悪化する要素はたくさんあります。
骨盤が不安定なうちは無理せず横になる時間をしっかりとると、肛門の腫れが早く良くなります。
授乳がはじまったら、自分のための水分だけでなく、子供の分までお水をたくさん飲みましょう。
入浴できるようになると一気によくなることも多いのですが、悩んだら肛門科を受診しましょう。
◆ 女性の「事情」その3・・・からだの冷え
冷えると肛門周辺の血流が悪くなり、うっ血して痔をまねいてしまうことがあります。
冬の寒さで痔が悪化する人が多いといわれますが、夏でも冷房の効きすぎた部屋で過ごしているとからだの血流が悪くなります。
また、ホルモンのバランスの関係で冷えやすい体質の女性もいるようです。 ミニスカートや薄着の季節には、「からだの冷え」にとくに注意しましょう。
治らないときは病院へ
以前 「痔なんてオジサンのなる病気だよ」と家族に言われて泣いちゃったという女子高生の患者さんがいらっしゃいました。
ここ、松島病院では、女性の初診患者さんの平均年齢は40代。
10代の患者さんも珍しくはありません。
一番つらいのは、誰にも言えずに悩んでいるときなんですよね。
特に若いときは「私だけじゃないのかな」って思い込みがちですけれど。ぜーんぜん。あなただけじゃないですよ。
どうぞ、あんまり悩みすぎず。
かといってあなどることなく。
「治らないときは、病院へGo」